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【音楽】80~90年代のクリスマスソングは、なぜ私たちの胸を強く締め付けるのか?

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1 :2019/12/22(日) 21:12:41.82 ID:Kcd5a6HC9.net

クリスマス・イブ」34年にわたる超ロングヒット

クリスマスに、クリスマスソングはつきもの。そしてクリスマスソングは、印象的なCMやドラマによっていっそう記憶に残るものになります。
ここではクリスマスソングが次々と大ヒットとなった1980年代後半から1990年代前半に話を絞って、そこに映し出された東京やそこに生きる若者たちの姿を見ていきたいと思います。

つい先日、こんなニュースがありました。山下達郎「クリスマス・イブ」(1983年発売)が2019年12月23日付オリコン週間シングルランキングで17位となり、1987(昭和62)年以来続いている週間トップ100入り記録を34年に更新したというものです。

「クリスマス・イブ」がここまでのロングセラーになったきっかけは、1988年から1992(平成4)年にかけて制作されたJR東海「クリスマス・エクスプレス」のCM音楽になったことでした。遠距離恋愛のカップルを描いたこの連作CMは大変な評判になり、「クリスマス・イブ」もクリスマスの定番中の定番曲となりました。

 なかでも有名なのは、牧瀬里穂が出演した1989年のバージョンでしょう。

 彼が東京から戻ってくるのでしょうか。プレゼントを抱えながら、新幹線の改札へと息を切らしながら急ぐ牧瀬里穂。ようやく間に合い、改札を通る彼の姿を見つけます。しかし彼女は駆け寄ることなく、近くの柱の陰に隠れます。彼を驚かそうとしたのです。目をつぶり、深呼吸をする牧瀬里穂から思わずこぼれる笑み。うれしさとドキドキ感がこちらまで伝わってくるようです。

 時はバブル。クリスマスといえば恋愛中のカップルが主役という時代の到来でした。東京などでは、クリスマスのために1年前から高級ホテルを予約するのが当たり前とまで言われていました。「クリスマス・イブ」は、松任谷由実「恋人がサンタクロース」(1980年発売)と並び、そんな時代の代表曲と言えます。

映像世界との融合が音楽に宿した、より深い物語性

1990年にTBSテレビ系で放送されたドラマ『クリスマス・イヴ』(画像:TBSテレビホームページ)
 ただ「クリスマス・イブ」という歌自体は、決してハッピーなものではありません。むしろ逆です。「きっと君は来ない ひとりきりのクリスマス・イブ」と叶わぬ恋の心境が綴られた詞からは、山下達郎の透き通るようなハイトーンも相まって、なんとも言えない寂しさが感じられます。

 同じことは、これも大ヒットした辛島美登里「サイレント・イヴ」(1990年発売)にも当てはまります。

 この曲は、仙道敦子と吉田栄作が主演したドラマ『クリスマス・イヴ』(TBSテレビ系)の主題歌でした。

 都内にある大手都市銀行の支店でともに働く、仙道が演じる一般職の女性と吉田が演じる総合職の男性との恋愛模様が描かれています。ふたりはクリスマス・イブに出会うのですが、その場所がオーストラリアのリゾートというのがいかにもバブルです。

 交際するうちにふたりの間にすれ違いも生まれますが、結局1年後のクリスマス・イブをきっかけに互いの気持ちを確かめ合います。つまり、ハッピーエンドです。

 それに対し、辛島美登里の「サイレント・イヴ」は、「クリスマス・イブ」と同じく失恋ソングです。歌のなかの女性は、「さようならを決めたことは けっしてあなたのためじゃない」と現在の恋愛を断ち切って前を向こうとします。辛島美登里の優しいなかにも説得力豊かな歌声が、女性の気持ちを後押しするようです。

 こうした映像(物語)と音楽の相乗効果、光と影のコントラストは、クリスマスへの私たちの想像力をより豊かにするものであるように思います。私たちが今もクリスマスに感じる特別な情感は、そうして培われてきた面が少なくないはずです。

2/22(日) 7:30配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191222-00010000-metro-life