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【新型コロナ】気づかぬうちに重症化する「サイレント低酸素症」が発生

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1 :2020/05/16(土) 19:15:21 ID:q3mqVZPK9.net

 患者の家を訪れたノルウェーの医師マリ・セイム氏は当惑していた。

 その60代男性の体調が変化したのは1週間以上前のこと。インフルエンザのような症状を示し、呼吸数が上昇しているという。セイム氏は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を強く疑いながら男性の家に向かったが、そこで目にしたのは予想外の光景だった。

「その男性は椅子に腰掛けて、ほほ笑んでいたんです」とセイム氏は言う。「少しも具合が悪そうには見えませんでした」

 それでも男性の呼吸は速く、通常の3倍ほどのスピードだった。唇と指がかすかに青白くなっていた。男性がどれほど深刻な状態にあるかをセイム氏が本当に理解したのは、血液中の酸素飽和度を測定したときだった。正常だと90%を大きく超えるはずが、セイム氏が確認した数値は66%だった。一瞬、セイム氏は装置が故障しているのではないかと考えた。もう一度確認したがやはり66%で、セイム氏はすぐに救急車を呼んだ。

 この男性が示していた症状は「無症候性(サイレント)低酸素症」。COVID-19の患者に広く見られるものの、初期には見落とされていた特徴である。ほかの呼吸器疾患とは異なり、COVID-19は初期段階でさほど息切れを起こすことなく、ゆっくりと体内から酸素を奪ってゆく。患者が呼吸困難や胸部の圧迫感を感じるころには、すでに重篤な状態になっていることもある。(参考記事:「もしや新型コロナ? 疑われる自宅療養時に気をつけるべきことは」)

 無症候性低酸素症に驚かされる医師は少なくない。患者の中には、錯乱していてもおかしくないほど酸素が欠乏している者もいるのに、彼らは意識をはっきりと保ち、落ち着いて質問に受け答えをし、携帯電話も使える。科学者たちは、なぜCOVID-19がこのような症状を引き起こすのか、どのように体を蝕むのかを理解しようとしている。

 現在、多くの医療専門家が、症状が進行していない限り、人工呼吸器の使用を控えることを提案している。その代わりに試みられるようになっているのが、酸素を補充したり、患者をうつぶせに寝かせて酸素の流れを良くしたりするなど、体内への機器の挿入を伴わない初期段階での支持療法だ。

 レビタン氏は、COVID-19が引き起こす無症候性低酸素症への認知を高めることで、人工呼吸器が必要なほど重篤化する前に、人々が早い段階で病院に向かってくれるのではないかと述べている。家庭用のパルスオキシメーター(動脈血の酸素飽和度と脈拍数を測定する装置)も、COVID-19の諸症状を発症した患者をモニターするのに役立つと、レビタン氏は言う。

 ノルウェーの複数の医療施設とスペインの大学の共同研究では、COVID-19の患者の協力を得て、パルスオキシメーターを含むさまざまな検査装置を使って、患者の状態の遠隔追跡を行っている。この研究が目指すのは、病気の進行を早期に発見すること、また軽症の患者が医療施設に長く滞在しなくてもすむようにすることだ。

 医師たちは一般に、家庭用パルスオキシメーターの使用が病気の進行を監視するのに有用であることに同意している。しかしヤンセン氏は、この機器の使用にあたっては、必ず医療の専門家に相談するよう強調している。COVID-19に対する恐怖が拡大する中、人々が医療施設に行って感染する危険を避けようとして、医師と話をすることなく自己診断を行うようになっているのではないかと、ヤンセン氏は危惧している。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/051300289/?P=2