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【収容長期化対策】退去命令拒否の外国人に罰則提案 弁護士ら批判「支援者も共犯に」

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1 :2020/06/16(火) 00:30:42 ID:k5wla+Ih9.net

 在留資格がない外国人の収容長期化などを受け、出入国在留管理庁の専門部会が15日、国外退去命令に従わない場合の罰則創設の検討などを提言した。これに対し、外国人の支援団体や弁護士らは参院議員会館で記者会見し、「罰則ができれば、支援者なども共犯に問われかねない」などと懸念を表明した。

 提言は法相の私的懇談会「出入国管理政策懇談会」の下に設置された有識者らの「収容・送還に関する専門部会」がまとめた。同部会は「送還忌避者の増加や収容の長期化を防止する方策」などに関し、出入国在留管理庁が取るべき方策を議論するため昨年10月以降、議論を続けてきた。

 長期収容者からは昨年ナイジェリア人の餓死者が出たほか、精神や身体の不調を訴える人も多く、深刻な人権問題となっている。

 会見した「収容・送還問題を考える弁護士の会」によると、同部会は退去命令拒否に対する罰則のほか、難民認定の再申請を送還回避目的と判断した場合に、送還を可能とする措置の検討を提言した。一方で、長期化への批判が集まっている収容期間に関して裁判所が審査することについては「問題が大きい」との立場だという。

 同会の駒井知会弁護士は、新たな罰則の提案に対し「外国人長期収容者らだけでなく、彼らをサポートするボランティアや弁護士なども、ほう助や教唆などの罪に問われかねない」と強い懸念を表明した。また、難民認定の再申請者が手続き中に送還される可能性があることも「現状でも99.5%の人が申請しても難民として保護されない」と問題視した。

 同会の高橋済弁護士は、難民認定申請が送還回避目的かどうかは「裁判所が決定し、入管が判断すべきではない」と強調。申請中の送還は「事実上、難民条約からの離脱に等しい」との見方を示した。

 同会会長の児玉晃一弁護士は、「部会は『送還忌避者』を排除する方向での議論をしており、受け入れ、解放する方向での議論が深まらなかった」と指摘。一方、渡辺彰悟弁護士は、部会での議論が難民認定の適正化に関する過去の提案や、新型コロナウイルス禍に伴う世界的変動、滞在国での保護の動きなどを反映しておらず、「移民や外国人に関する政策がないことを示している」と分析した。

 指宿昭一弁護士は、入管施設で長期収容者のハンストなどの抗議行動が起きていることに触れ「入管はなぜ、そうしたことが起きているか原因を考えていない。日本は少子高齢化で移民労働者にある程度頼る必要があるが、こうした発想の国に外国人が来てくれるのか」と語った。

 今回、専門部会が提言した、退去命令拒否への罰則創設などについては、日本弁護士連合会も今年3月、法相と出入国在留管理庁に反対の意見書を提出している。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

毎日新聞2020年6月15日 23時39分(最終更新 6月15日 23時40分)
https://mainichi.jp/articles/20200615/k00/00m/040/265000c