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「わからない映画」がなぜヒット? 『TENET テネット』が示す映画興行の面白さ

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1 :2020/10/04(日) 17:51:38.93 ID:CAP_USER9.net

「観たけど、意味不明!」

「結局なんだったのか、モヤモヤする」

「2回観た。でもやっぱりわからない…」

9月18日に日本で公開された映画『TENET テネット』は、週末動員ランキングで2週連続トップに立った。3週目に突入しても、その勢いは衰えていない。久々の洋画の大ヒット作として注目を集めているにもかかわらず、SNS上には「わからない」という声もあふれている。

たしかに、主人公が「時間逆行」を利用して人類の危機を救おうとする物語は、時間が順行する世界とのシンクロ、時制の把握しづらさ、誰がどんな目的で行動しているのか不可解な謎など、とにかく観客を混乱させる要素だらけ。なぜここまで「理解不能な映画」がヒットしているのだろうか?

まずヒットの最大要因として挙げられるのが、「観客の渇望感」。新型コロナウイルスの影響で、ハリウッド大作の公開がほぼストップしているなか、「とにかくスゴいものが観られるらしい」という期待感を高め、映画館の大スクリーンにふさわしい作品への欲求に応えたのが『テネット』だ。クリストファー・ノーラン監督が映画館での上映にこだわり、アメリカの大都市が映画館をオープンできない状況にもかかわらず、世界の観客にできるだけ早く届けたいという判断は、少なくとも日本では成功といえるヒットにつながった。実際に、より映像や音の効果を体感できるという意味で、通常のスクリーン以上に、IMAXでの上映が異例の人気で、平日でも満席の回が目立っている。たとえばIMAXのスクリーンを擁する奈良県が、近県よりも数字が好調だったりと、まさに特大スクリーンで映画を観る喜びを、観客が久々に味わっているのだ。

「わからない」「難解」こそが作品の魅力
公開3週目に入っても池袋グランドシネマサンシャインのIMAXレーザーGTのスクリーンは、上映の数時間前にこのようにほぼ満席となってしまう(10/3、池袋グランドシネマサンシャインのHPより)
しかし、ここ数年の洋画の大ヒット作と比べると、『テネット』への反応は複雑だ。『ボヘミアン・ラプソディ』のようにハイテンションでの一体感で何度も観たくなるパターンではない。『ジョーカー』のように主人公に不思議な陶酔感を味わって惹きつけられるわけでもない。また『パラサイト 半地下の家族』のように先が見えない面白さでもない。すでにあちこちで語られているように、『テネット』は「難解でわかりにくい」ゆえに観客の興味を誘い、なおかつリピーターを発生させている、ちょっと異例のケースなのである。

配給を担当したワーナー・ブラザースの宣伝プロデューサー、小宮脩氏によると、その部分を強調した宣伝戦略が今回はうまくはまったという。

「『わからない』『難解』ながら、それでも観たら夢中になる点がこの映画の圧倒的な個性なので、そこをあえて公開前に打ち出したんです。その結果、一度観てわからなかった人が鑑賞後にさまざまな情報を収集し、もう一度理解するために観に行くという現象が続いているようです」

続く
https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/20201004-00201147/