最新記事(外部)
お勧め記事(外部)

息子の夏休みの宿題で気づいた、日本の水産業の“異常”とは?マルハニチロ・片野歩さんが業界に「警鐘」を鳴らし続けた思い

スポンサーリンク

1 :2022/08/23(火) 22:47:53.88 ID:BJKS1F1d9.net

水産業は、海外では『成長産業』日本では『衰退産業』。息子の自由研究をきっかけに見つめ直すと、業界の“当たり前の風景”が違って見えてきた。

Maya Nakata
2022年08月23日 6時0分 JST
|
更新 7時間前

「日本のサバがノルウェー産より小さいのは、“当たり前”だと思っていました。それが“異常”だと気づいたきっかけは、当時12歳だった息子の夏休みの自由研究でした」
水産の大手企業・マルハニチロに勤めながら、個人で水産業界の現状に警鐘を鳴らし続けてきた人がいる。20年以上、同社でノルウェーなどの魚の買付けをしてきた、片野歩さんだ。
日本近海の漁業資源は悪化の一途を辿っている。水産白書(令和3年度)によると56%が「低位(獲りすぎ、乱獲)」と枯渇状態だ。片野さんは持続可能な日本の水産業のために、科学的根拠をもとにした資源管理の必要性を10年以上前から訴えてきた。

2015年には水産物の持続可能性を議論する国際会議「シーフードサミット」政策提言部門で、日本人初の最優秀賞を受賞。一方で、当時の日本の水産業界の“常識“とは異なる発信だとして理解されない場面もあったという。

業界大手で会社員をやりながら、どんな思いで発信を続け、社会に声を届けてきたのか。

水産業は、海外では『成長産業』日本では『衰退産業』

小さい頃から魚が大好きだったという片野さん。魚屋によく行っては魚の名前を覚えたり、地元である神奈川県茅ヶ崎の海でメジナやイシダイを釣って飼育していた。図鑑を何回も読み返すほど、魚の生態系に興味津々だったそうだ。
そんな片野さんが大洋漁業(現マルハニチロ)に入社した当時、日本の水産業界はまさに転換期を迎えていた。これまで世界中の海に飛び出して大量に水産物を獲っていたのが一転、排他的経済水域(200海里)が設定され、漁獲量がぐっと減り、水産物の輸入業に軸足を移していたタイミングだ。
「私がノルウェーでサバの買付けをし始めた1990年当初は、ノルウェーの空港も工場も船もみんなボロボロでしたよ」

しかし毎年訪れるたびに工場が綺麗になっていき、新しい船ができ、ノルウェーの水産業はどんどん活気付いていった。一方日本は、まるで時が止まったかのように何も変わらなかったという。
「水産業は、海外では『成長産業』、日本では『衰退産業』。おかしいなと思いながらも、いつの間にかその“当たり前の光景”に慣れてしまっていました」

息子の自由研究に気付かされた

転機は15年前、片野さんの息子が中学一年生の時。夏休みの宿題の自由研究コンクールで、「危機に直面している日本のサバ資源」についてまとめ、優勝賞を受賞したことだった。
「結構反響があって、『日本の漁業の危機に世間は関心があるのだ』と初めて思いました」

息子の自由研究をきっかけに、仕事をしながらどこかで感じていた違和感を改めて見つめ直すと、“当たり前の風景”が違って見えてきたそうだ。
例えばサバのサイズ。ノルウェーのサバは500g~600gが一般的だったのに対し、日本で獲れるサバは200g~300gのものばかり。「日本のサバは大きくならないものだと思っていた」と片野さんは話す。
ところがよく調べてみると、日本のサバが小さいのは、大きくなる前に獲ってしまっているからだった。小さなサバを獲りすぎていたせいで、大きく育つサバが少なくなっていたのだ。

片野さんはそれまで、日本の水産業に対して「乱獲(獲りすぎの状態)」という感覚を持ったことはなかったという。だが、実際には日本の資源管理は甘く、魚を獲っていい量を規定する漁獲枠も、本来あるべきものよりもはるかに緩く設定されていた。実質「獲り放題」状態だった。
「ノルウェーでは科学的根拠に基づく資源管理がされており、日本と全然違うことに気づきました。資源管理をした方が、水産資源が豊かになるということを、ノルウェーの現場で実は目の当たりにしていたのだと、この時に気づきました」

大手企業の一般社員が個人で発信、なぜ?
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_62ff3380e4b0a85a819a8a1d