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ボーイズラブは不健全図書か? 都から指定、ツイッターで「性犯罪者」と攻撃受ける 漫画家ら用語変更訴え

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1 :2023/04/09(日) 18:47:43.46 ID:OaoLGIWq9.net

 男性同士の恋愛を描くBL(ボーイズラブ)作品は不健全か?。過激な性描写のある漫画などを「不健全図書」に指定し、18歳未満への店頭販売を禁止する東京都青少年健全育成条例を巡り、漫画家らが「不健全という呼び名を変えてほしい」と訴えている。指定制度が始まったのは約60年前。性の多様化で「不健全」の定義もあいまいになっている。青少年を念頭に置いた規制が成人に及ぶケースもあり、専門家からは指定制度自体の見直しを求める声が上がっている。(三宅千智)
東京都の不健全図書指定制度 1964(昭和39)年施行の東京都青少年健全育成条例に基づき、青少年に対して著しく性的感情を刺激したり、甚だしく残虐性を助長したりする漫画、雑誌、DVDなどを都知事が指定し、書店・コンビニエンスストアでの18歳未満への販売・閲覧を禁止する。指定された図書はゾーニング(区分陳列)やビニール包装などが義務付けられる。施行以来、都は4000点以上を指定した。

◆都は変更に否定的
 墨田区在住の女性漫画家・星崎レオさんは昨年4月、自身のBL作品が「著しく性的感情を刺激する」との理由で不健全図書に指定された。直後にツイッターでつぶやくと、「性犯罪者」などと攻撃されたという。星崎さんは「不健全という言葉により、発行禁止処分を受けたとか、児童ポルノ作品をつくっているとか誤解される」と憤る。
 都議時代から表現規制問題に取り組んでいる栗下善行さん(40)らは昨年12月、成年向け図書だと示す用語への変更を求める陳情を都議会に提出した。賛同者には星崎さんのほか、「あしたのジョー」のちばてつやさん、「はじめの一歩」の森川ジョージさん、「進撃の巨人」の諫山創いさやまはじめさんら漫画家を中心に約100人が名を連ねた。
 しかし、陳情は、3月24日の本会議で不採択となった。文教委員会の審議では、共産党、立憲民主党、ミライ会議が「不健全図書という5文字に青少年への制限という意味は入っていない」「『青少年への販売等禁止図書』など、客観的な表現にしては」などと賛成。一方、自民党、都民ファーストの会、公明党は「成年向け図書を指定する条例ではない」「新名称を考える必要がある」「保護者の意見が反映されていない」などと反対した。
 都も変更には否定的だ。小池百合子知事は2月の記者会見で「これまでもいろいろな流れがあって、こういう名称になった」と説明。都生活文化スポーツ局の担当者は「不健全という表現は、条例の目的に照らして適切と考えている」としている。
 他の道府県も青少年保護を目的とした条例で、「有害図書」の文言で同様の規制をかけている。栗下さんは今後も「不健全」の変更を迫っていくつもりだ。「他の道府県は『有害図書』というさらに強い言葉で規制している。都が変えることで、全国的な見直しのきっかけにしたい」
◆「同性愛への偏見も?」
 過激な性描写や暴力描写は違法ではない。だからこそ各都道府県は、規制の対象を青少年に限定している。栗下善行さんは「不適切な図書をゾーニング(区分け)すること自体は必要だ」とした上で、必要以上の規制につながっている現状を問題視する。
 都の指定制度では、ネット上での閲覧や購入は対象外。だが、通販大手アマゾンは、都が不健全図書に指定した書籍を販売サイトから削除する独自ルールを設定している。不健全図書は18歳未満への制限にもかかわらず、アマゾンでは18歳以上も買えない。栗下さんは「事業者が販売そのものをやめてしまい、経済的損失が生じている」と危惧する。
 昨年、不健全図書に指定された13冊は全てがBL漫画だった。都議の一部からは「同性愛への偏見が混じっているのでは」との声も上がる。
◆根拠が明確でない
 檜垣ひがき伸次・同志社大教授(憲法学)の話 何が不健全かという根拠が明確ではない。ネットでいくらでも調べることができる現代において青少年に見せたくないなら、不健全図書に指定されたものを売らないだけでは効果も大して期待できない。また、ネット販売大手が販売を中止するなど成年への影響も大きく、過剰な規制と言える。

東京新聞 2023年4月9日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/242977