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【悲報】日本はまだ出遅れるのか…脱炭素へ「勝負の10年」 GX推進法は実効性に疑問符

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1 :2023/07/07(金) 08:33:25.38 ID:VekZoIqW9.net

日本はまだ出遅れるのか…脱炭素へ「勝負の10年」 GX推進法は実効性に疑問符、排出量取引市場が10月に開設

 二酸化炭素(CO2)排出の削減量などを売買する「排出量取引」の市場が10月に初めて開設される。従来の相対取引に比べて、市場取引の下で排出量取引が活発になることや、価格決定の透明性が高まることが期待される。(押川恵理子)
 排出量取引 政府などの定めるCO2排出量の上限を超え、排出権が不足する企業が、排出権の余っている企業から買う仕組み。先行する欧州連合(EU)では発電所や石油精製などの企業に排出削減の義務を課しており、価格変動リスクを避けるため先物取引も活発化している。

 市場を開くのは、東京証券取引所と、SBIホールディングス(東京)と気候変動対策の新興企業アスエネ(同)が共同で新設した新会社「Carbon EX(カーボンイーエックス)」。
 東証は経済産業省の委託事業として、22年度に実験的な市場取引を実施していた。当面は日本政府が再生可能エネルギーの利用量などに応じて認証する排出権の「J-クレジット」を扱い、年間で50万?60万トン、10億円ほどの売買高を見込む。
 一方、カーボンイーエックスによる市場では当初から国内外の民間認証機関による自主的な排出権なども扱われる。アスエネの西和田浩平社長は「取引参加者の利便性が高まり、アジア1番の市場を目指す」と話す。
 世界銀行の調査によると、昨年の世界の排出権の発行残高は約4億7500万トン。排出量取引と炭素税を導入している国・地域の収入は計950億ドル(約13兆円)となり、前年より1割増えた。
◆負担の義務化は当面先、実効性に疑問符
 排出量取引は、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出に負担を求め、脱炭素を企業に促す「カーボンプライシング」(炭素価格)政策の一種だ。政府は「グリーン・トランスフォーメーション(GX)推進法」を5月に成立させ、脱炭素を加速させる方針。だが、負担の義務化は当面先で、排出削減の実効性に疑問符がつく。
 「今後10年の選択や対策が数千年先まで影響する」。今年3月に発表された国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次統合報告書はそう警鐘を鳴らしている。世界平均気温は産業革命前と比べて既に1.1度上がり、気温上昇を1.5度に抑えるには2035年に温室効果ガスの排出を19年比で60%減らす必要があるという。
 「勝負の10年」に向け、政府の対応は迅速とはいえない。排出量取引は始まるものの、炭素税の代わりに化石燃料の輸入業者などに負担させる「炭素賦課金」の徴収開始は28年度、発電事業者に排出権を有償で割り当てるのは33年度と遅い。こうした批判に経済産業省の担当者は「法律で実施時期を定め、負担を示すことで企業の脱炭素化の促進につながる」と説明する。
 欧州連合(EU)では05年に排出量取引がすでに導入されている。脱炭素政策に詳しい日本総研の大嶋秀雄氏は「出遅れた日本には時間の余裕がない。段階的な負担では脱炭素化を達成できるかは未知数だ」とみる。
 企業の排出削減を後押しするには炭素価格の水準も重要となる。国際エネルギー機関(IEA)は先進国の炭素価格を30年に1トンあたり140ドル(約2万円)?250ドル(約3万5000円)にする必要があると予測している。炭素賦課金などが返済原資で、脱炭素の政策の資金となるGX経済移行債の規模(約20兆円)などから大嶋氏が簡易的に試算すると、日本の炭素価格は28年に1500円、50年に4400円と安い。
 炭素賦課金は、電気料金などに上乗せされて家計の負担が増える懸念もある。大嶋氏は「移行債の使途をしっかり示さないと国民の理解は得られないだろう。排出削減に貢献する世帯の家計に補助金などで還元したり、低所得者層の負担を軽減したりする政策も求められる」と指摘した。

東京新聞 2023年7月7日 06時00分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/261356