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地震保険の加入率に地域差 石川、富山が低い理由 東京は…

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1 :2024/01/07(日) 09:29:50.56 ID:bMP8DE+S9.net

 最大震度7を観測した能登半島地震を受け、地震保険を提供する損害保険各社は対策本部を設置し、支払いに向けて被害状況の確認を進めている。火災保険加入者のうちの地震保険の加入率は地域によってばらつきがあり、被害の大きかった石川県の加入率は64・7%と全国平均を下回っている。どんな事情が影響したのか。

 地震保険は地震や噴火、津波のほか、これらが原因の火災で建物や家財が損害を被った場合、条件に応じて一定の保険金が支払われる。単体では加入できず、任意で火災保険とセットで加入する。保険料はその分上乗せして支払う仕組みだ。

 日本損害保険協会などによると、火災保険に加入している人のうち、地震保険の加入率は全国平均で69・4%(2022年度、付帯率)だった。石川は平均以下で、今回の地震で最大震度5強だった富山も63・5%と低い割合だった。

 それには、これらの地域で大きな地震の発生確率が低く予想されていたことが一因に挙げられる。

 地震保険料を決める際の参考となる政府の地震調査委員会が示すデータでは、日本海側より太平洋側の地震の発生確率が高く出ていた。20年に作成された最新のデータでは、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は、東京都が47・2%だった。これに対し、石川は6・6%、富山も5・2%と低かった。

 損保協会の担当者は「大きな地震が過去にあったか、将来想定される地域では加入率が高くなる傾向はある」として、発生確率の低さが加入率が低くなる一因になった可能性があると指摘する。

 地震に直面した、またはしそうな地域では、実際に加入率が高くなる傾向も出ている。最も加入率が高い都道府県は11年3月の東日本大震災の被災地で宮城の89・3%だった。福島(80・7%)、岩手(75・5%)も平均より高かった。この3県では震災の翌年度の11年度に加入率が10ポイント以上、上昇した。

 このほか、高知(87・5%)▽宮崎(84・3%)▽愛知(76・6%)▽徳島(同)――など、近い将来に巨大地震が発生すると予想される太平洋側の地域で高い加入率となっている。

 一方、将来的に大きな地震が予想される東京では加入率が61・9%と平均より低かった。地震の保険料は地震発生の可能性だけでなく、地震に伴う火災の延焼リスクが高まる人口密集地帯があることなどの条件で変化する。

 東京の場合、鉄筋コンクリート造りの建物への地震保険料は、保険金額1000万円の1年契約だと2万7500円となり、石川の7300円より3倍以上高い。「火災保険よりも保険料が高くなる一方で(もらえる)保険金額が低い」(損保協会)などの理由でメリットを感じにくいことも、東京で加入率が伸び悩む要因と考えられる。

 地震保険は被害の全額を補償するわけでもない。建物や家財の損害状況に応じて全損▽大半損▽小半損▽一部損――の4段階に認定した上で、支払いの限度額は最大で、付帯元の火災保険で支払われる保険金の50%までに抑えられている。

 理由は保険の特性にある。地震大国である日本で地震保険が成立したのは戦後になってからだ。1964年の新潟地震を契機に66年に始まった。地震は発生した場合の被害額が巨額になる可能性があり、再保険は国が引き受け、財政にも限りがあるために限度額が規定された経緯がある。

 それでも災害が多発していることもあり、追加で保険料を払ってでも地震に備えたい人が増えているのも事実だ。加入率は20年前(約33%)から2倍以上となり、損保協会の担当者は「地震は確率が低い地域でも、全国どこでも起こりうる。今後も保険を普及させていきたい」と話す。

 一方、損害判定を巡っては、過去の災害で損保会社の支払額が過少だったとしてその後に増加されたケースもある。21年2月の福島県沖地震では、被災した自宅が「一部損」と認定された契約者が訴訟に踏み切り、東京地裁は「全損」と認定。保険金1000万円の支払いを損保側に命じた例もある。

 損保協会ではトラブル防止などのためにも、「(申請前に)家財を片付ける前の状況で写真を撮っておけば手続きがスムーズになる」と勧める。また、判定結果などに不満がある場合は「そんぽADR(裁判外紛争解決手続き)センター」(03・4332・5241)での相談も受け付けている。

請求巡るトラブルも注意(略)

毎日新聞 2024/1/7 07:00(最終更新 1/7 07:35) 2003文字
https://mainichi.jp/articles/20240106/k00/00m/020/002000