1: 2016/01/27(水) 10:50:53.91 ID:DeDkj5yC0
外務省が2016年度の内定者に課す「目標」が、話題を呼んでいる。
英語力テスト「TOEFL」で、100点以上を獲得しろ、というのだ。
今春入省予定の内定者のうち、100点以上は3割しかいないとされているが、外務省が目標を設定した背景には、どんな事情があるのか。
TOEFLというのは、アメリカのNPO法人が実施している非英語圏出身者に対する英語力判定テストである。
満点は120点。リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つの項目によって、英語力が測られる。
100点というのは、日本でしか英語を学んでこなかった学生にとっては、なかなか高いハードルだ。
だが、アメリカの一流どころの大学では、100点は足切りラインである。大学院なら110点以上を要求されることもある。
日本人の英語下手はよく知られているが、TOEFLの平均スコアも、先進各国に比べ著しく低い。
’14年のデータによると、日本人の平均スコアは70。
G7国を見ると、アメリカ87、カナダ95、イギリス91、フランス87、ドイツ96、イタリア90と、日本だけ蚊帳の外だ。
ヨーロッパ諸国でも90以上がほとんどで、80以下はまずない。
最低でもトルコの75だ。アジアに限っても、韓国84、中国77、香港83、北朝鮮82、台湾80と、日本より高い。
低いのは、カンボジア69、ラオス64だけ。日本は、アジアでも最低ランクなのだ。
もちろん、この傾向は最近の話ではなく、以前からである。
外務省入省者の英語力も、先進国の外交官からみればはるかに劣っていた。
だがそれでも、以前は入省者を海外留学させることで、なんとか体裁を取り繕うことができていた。
ではなぜ、このタイミングで「100点以上」という目標を課すようになったか。
日本人外交官の英語レベルが、さらに下がったわけではない。最近は留学さえできなくなってきたのだ。
■ネイティブでない人が英語を教えるのは異例
英語力が劣っているのにもかかわらず、これまで外務省官僚が留学できたのは、日本に経済力があったからだ。
アメリカなどの大学は「日本人枠」を確保しており、英語が多少できなくても、留学生を受け入れてくれた。
中国や韓国といった国に比べ、日本は有利だった。
ところが、’90年代から日本の経済力に陰りが見え始め、中国や韓国が台頭。
それにともない、「日本人枠」は少なくなり、中国や韓国からの留学生も急増してきた。
いまや日本人留学生は、英語力の面からも、数の面からも圧倒されている。
要するに、もはや外務省官僚だけが、低い英語力のまま留学できる状況ではなくなったというわけだ。
そこで今回、外務省はTOEFL100点以上を課し、留学できるくらいの英語力を身につけて入省してくれ、と言い出したのだ。
外務省に限った話ではなく、日本人の英語下手は、教育制度の問題だ。
ネイティブでない人が英語を教えるのは、先進国では極めて異例。
英語ができない人から習うと、英語ができない人の再生産にしかならない。
しっかりとした英語教育システムを導入しなければ、日本人の英語力は向上せず、世界からどんどん取り残されていくだろう