1:なまえないよぉ~ 2017/04/14(金) 06:45:38.77 ID:CAP_USER.net
2017/4/13(木)16:00
4月12日、全国各地の書店で、1冊の本が飛ぶように売れていた。店のいちばん目立つ場所に平積みにされたその本を手にとって、さまざまな世代の男女がレジに並ぶ──。
この前日に発表されたのは「2017年本屋大賞」。直木賞や芥川賞などのように選考委員が選ぶ一般の文学賞とは違い、全国の書店員の投票で選ばれるのが本屋大賞の特徴だ。2004年にスタートし、過去の受賞作はいずれもベストセラーになり、多くが映画化やドラマ化されている。
今年の受賞作は、恩田睦さんの『蜜蜂と遠雷 』(幻冬舎)。1月に直木賞も受賞しており、初の“同時受賞”となった。恩田さんは本屋大賞受賞の喜びをこう話す。
「『蜜蜂と遠雷 』で2度目の本屋大賞をいただけたのは、嬉しい驚きでしたし、たいへん誇りに思っております。なにもかもモニター上での検索が主流になってしまった現在、書店というところは、世界と時代を直に肌で感じられる、ますます貴重な場所になっていると思います。私はリアル書店でしか本を買ったことがありませんし、これからもリアル書店で本を買い続けます」
NPO本屋大賞実行委員会のメンバーで、賞の立ち上げにもかかわった丸善・丸の内本店の高頭佐和子さんが語る。
「会合などで親しくなった他の書店員たちと“この本が面白かったよ”といった話をしていて、でも、それをお客さまに大きく伝えられないもどかしさがあって。この賞はできるだけたくさんのかたに本と本屋を好きになってもらいたいという書店員の思いで作りました。まずは書店に来ていただいて、受賞作だけでなく、他の本も手にとってもらえれば嬉しいです」
その背景には「危機感」もあったと高頭さんは言う。活字離れ、出版不況が進むのと同時に、わざわざ書店に足を運ばなくても本が買える時代になった。だけど、ふらりと書店に立ち寄れば、ネットでは決してできなかった、思わぬ本との出会いがあるかもしれない。そんな書店の醍醐味を知らなかったり忘れている人が今、増えているのだ。
◆ 町の本屋は「貯金を切り崩して何とか…」
2003年度に全国に2万880店あった書店は2016年度には1万4098店とわずか十数年で約3割も減った。毎年500店以上が閉店し、昨年も668店舗が姿を消した。
今や書店が1つもない市町村が全国に332もある(日本書籍出版協会資料・2015年5月時点)。全国約1700の市町村のうち、2割近くに書店が存在しないことは、“町の本屋”が成り立たない厳しい現実を示している。
東京・代々木上原駅前に店を構える幸福書房は、広さ20坪ほどの典型的な“町の本屋”だ。開業して40年、小さいながらもきめ細かな仕入れで「大型書店にもなかった本がここで見つかる」ことも多いと評判だ。
「本屋をやっていると毎日が楽しいですよ。朝来ると、取次会社から届いた、新しい本が詰まった段ボールを開けて、“こんなのが出たんだ”とワクワクしますし。お客さんに“こんなちっちゃい本屋に、こんな本があるんだね~”と言われるのも嬉しいですね。毎日張り合いがありますよ」
と店長の岩楯幸雄さん(67才)。一方で、書店の経営の厳しさを肌で感じているという。
「毎日、大手取次会社と神田村(神保町にある小さな取次業者が集まっている場所)に仕入れに行くんですが、昔は同業の仲間がたくさんいた。でも、その頃の仲間はもうみんな廃業して、今はウチだけになっちゃった。とくにこの10年くらいで雑誌が売れなくなって、経営はいよいよ苦しいですね」(岩楯さん)
幸福書房の営業時間は朝8時から夜11時までで、休みは元日のみ。岩楯さん夫妻と弟の敏夫さん夫妻の4人で切り盛りしているが、「それだけ長い時間開けて、貯金を切り崩しながらようやく食べていけるという状況です」と岩楯さん。
2年前までは長男が午後6時から午前1時まで店を手伝っていたが、今は違う仕事をしている。
「私ももう年なので、将来的には店を任せようと思って、いちばん忙しい時間帯を手伝ってもらっていたんですが、給料が払えなくなったので、“悪いけど…”と辞めてもらったんです。息子は新しい仕事を始めて2年、あっという間に私らの給料を超えてますよ。土・日の休みもちゃんとあるのにね」
岩楯さんはそう言って寂しそうに笑った。岩楯さんは毎週日曜日の午前中は散歩に出かけ、書店があると入ってみるのが常だ。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170413-00000019-pseven-soci
4月12日、全国各地の書店で、1冊の本が飛ぶように売れていた。店のいちばん目立つ場所に平積みにされたその本を手にとって、さまざまな世代の男女がレジに並ぶ──。
この前日に発表されたのは「2017年本屋大賞」。直木賞や芥川賞などのように選考委員が選ぶ一般の文学賞とは違い、全国の書店員の投票で選ばれるのが本屋大賞の特徴だ。2004年にスタートし、過去の受賞作はいずれもベストセラーになり、多くが映画化やドラマ化されている。
今年の受賞作は、恩田睦さんの『蜜蜂と遠雷
「『蜜蜂と遠雷
NPO本屋大賞実行委員会のメンバーで、賞の立ち上げにもかかわった丸善・丸の内本店の高頭佐和子さんが語る。
「会合などで親しくなった他の書店員たちと“この本が面白かったよ”といった話をしていて、でも、それをお客さまに大きく伝えられないもどかしさがあって。この賞はできるだけたくさんのかたに本と本屋を好きになってもらいたいという書店員の思いで作りました。まずは書店に来ていただいて、受賞作だけでなく、他の本も手にとってもらえれば嬉しいです」
その背景には「危機感」もあったと高頭さんは言う。活字離れ、出版不況が進むのと同時に、わざわざ書店に足を運ばなくても本が買える時代になった。だけど、ふらりと書店に立ち寄れば、ネットでは決してできなかった、思わぬ本との出会いがあるかもしれない。そんな書店の醍醐味を知らなかったり忘れている人が今、増えているのだ。
◆ 町の本屋は「貯金を切り崩して何とか…」
2003年度に全国に2万880店あった書店は2016年度には1万4098店とわずか十数年で約3割も減った。毎年500店以上が閉店し、昨年も668店舗が姿を消した。
今や書店が1つもない市町村が全国に332もある(日本書籍出版協会資料・2015年5月時点)。全国約1700の市町村のうち、2割近くに書店が存在しないことは、“町の本屋”が成り立たない厳しい現実を示している。
東京・代々木上原駅前に店を構える幸福書房は、広さ20坪ほどの典型的な“町の本屋”だ。開業して40年、小さいながらもきめ細かな仕入れで「大型書店にもなかった本がここで見つかる」ことも多いと評判だ。
「本屋をやっていると毎日が楽しいですよ。朝来ると、取次会社から届いた、新しい本が詰まった段ボールを開けて、“こんなのが出たんだ”とワクワクしますし。お客さんに“こんなちっちゃい本屋に、こんな本があるんだね~”と言われるのも嬉しいですね。毎日張り合いがありますよ」
と店長の岩楯幸雄さん(67才)。一方で、書店の経営の厳しさを肌で感じているという。
「毎日、大手取次会社と神田村(神保町にある小さな取次業者が集まっている場所)に仕入れに行くんですが、昔は同業の仲間がたくさんいた。でも、その頃の仲間はもうみんな廃業して、今はウチだけになっちゃった。とくにこの10年くらいで雑誌が売れなくなって、経営はいよいよ苦しいですね」(岩楯さん)
幸福書房の営業時間は朝8時から夜11時までで、休みは元日のみ。岩楯さん夫妻と弟の敏夫さん夫妻の4人で切り盛りしているが、「それだけ長い時間開けて、貯金を切り崩しながらようやく食べていけるという状況です」と岩楯さん。
2年前までは長男が午後6時から午前1時まで店を手伝っていたが、今は違う仕事をしている。
「私ももう年なので、将来的には店を任せようと思って、いちばん忙しい時間帯を手伝ってもらっていたんですが、給料が払えなくなったので、“悪いけど…”と辞めてもらったんです。息子は新しい仕事を始めて2年、あっという間に私らの給料を超えてますよ。土・日の休みもちゃんとあるのにね」
岩楯さんはそう言って寂しそうに笑った。岩楯さんは毎週日曜日の午前中は散歩に出かけ、書店があると入ってみるのが常だ。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170413-00000019-pseven-soci