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ハゲの間で男性用ウイッグが静かなブーム この10年間で売上が1.4倍に

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1 :2020/02/23(日) 12:45:17

男性用ウイッグ(かつら)というと薄毛隠しのイメージが強いが、最近は「もう一人の自分」になれるツールとして活用する人が現れている。見た目の変身だけではない、気分を上げるスイッチ効果。
ウイッグを着用することに伴い、新たな消費が生まれるという「経済効果」も注目される。普段着けている男性も、隠さず周囲に告げよう…。そんな呼びかけも共感を呼んでいる。(重松明子)

 ハードロックが鳴り響くなか、白髪交じりのロングヘアをガンガン揺らしてベースを弾く姿…。「気分が上がり、ノリが全く違う。指も早く動くようになって、その気になるとできるんだな」

 競争戦略が専門の経営学者。一橋大大学院の楠木建教授(55)がスマホを取り出し、自身の動画を見せてくれた。「もう、かぶらないと演奏できない」

 目の前のツルリとした頭とは別人だが、派手なウイッグがクッキリした顔立ちになじんで自然。学生時代からバンド活動を続けてきたが「このままの頭でライブをするのは寂しい気がしていた」。
3年前、英国の大御所ハードロックバンド「レッド・ツェッペリン」のボーカル、ロバート・プラントの写真を持って、ウイッグをオーダーした。

 音楽活動の日に着用し、自宅から歩いて電車に乗る。知人に会っても気付かれない。「髪のインパクトは、服に比べても格段に大きい。趣味などのTPOによって変える『異日常』の髪があっていいと思う」。
一過性の「非日常」とは違い、日常とともに継続する人生の一面という側面を持つ「異日常」という言葉を使い、効用を力説した。

 楠木教授がウイッグに興味を持ったのは、知人が経営する投資会社が業界大手アデランス(本社・東京都新宿区)に出資したのがきっかけだった。

 人工毛開発から製造・販売まで手がけるものづくり重視の会社で、非常に高品質。しかし、男性使用者の大半が秘密にしているため「いいぞ、これ。触ってみろよ」などととおおすすめされることもなく、重要なマーケティングツールとなる口コミ効果も起こらない。
「これはもったいない」。薄毛隠しではなく、以前から経営学者として着目していた「異日常」消費を、ウイッグと結び付けた。

 現在の日本は、消費・経済の縮小が前提となる人口減少社会。だが、ウイッグを着用することにより異日常の「分身」をつくれば、人口が増えるのと同じような需要創出が見込めるはず−という考察だ。

 異日常の代表格といえば、別荘。家具代やそこまで行き来する交通費など、別荘を持つことで消費が連鎖する。これがウイッグの場合だと、「ロックな自分」を演出するため革ジャン、ブーツ…と消費が広がることを楠木教授は自ら実証している。
その姿は友人にも影響を与え、ストリートダンスが趣味の銀行役員は、念願のドレッドヘアをウイッグで手に入れようとしている。