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富士山登山鉄道、往復1万円想定 キーワードは「上質な観光地」

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1 :2020/12/14(月) 08:38:59.88 ID:JAEBqCuD9.net

 富士山の山梨県側の麓と5合目を結ぶ富士山登山鉄道構想の実現可能性を議論する県の検討会(会長・御手洗冨士夫経団連名誉会長)がまとめた基本構想素案は、運賃を往復1万円と想定している。世界文化遺産の富士山は国連教育科学文化機関(ユネスコ)から来訪者の抑制を求められていることもあり、長崎幸太郎知事はキーワードを「上質な観光地」と表現した。(渡辺浩)

ユネスコからの指摘

 「富士山の本来の価値を生かし、上質な観光地へと転換していくことが求められる。登山鉄道は環境にやさしく、かつ贅沢(ぜいたく)さや旅の満足感を感じられる乗り物ではないか」。長崎知事は2日に国会内で開かれた検討会理事会で、登山鉄道の意義を説明した。

 さらに「周辺地域全体の高品質化、高付加価値化を進める。北海道、東京、京都に並ぶ新しい日本の観光の柱となるようにしたい」と、世界の富裕層にも魅力を感じてもらえる地域づくりを強調した。

 富士山は2013(平成25)年に世界文化遺産に登録される際、ユネスコの世界遺産委員会や国際記念物遺跡会議(イコモス)から来訪者抑制の必要性が指摘されていた。

 だが、昨年の5合目への来訪者は登録前の平成24年の2・2倍の506万人に増加した。7〜8月に集中している。

 今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたが、コロナ後を見据え、来訪者数を平準化し、環境負荷をなくすために、車から鉄道に切り替えようというのが登山鉄道構想だ。

国際的に妥当と試算

 県の有料道路「富士スバルライン」上の28・8キロに複線軌道を敷き、次世代型路面電車(LRT)を走らせる。麓の起点と終点の5合目の間に中間駅を4駅設置。最大6両編成で定員240人と想定している。 検討会が想定運賃を往復1万円としたのは、国内外の登山鉄道の例を参考にしたという。

 北アルプスの立山連峰をトロリーバスやケーブルカーなどでつなぐ「立山黒部アルペンルート」は、扇沢(長野県大町市)−立山(富山県立山町)間の片道が8430円。

 スイスのユングフラウ鉄道は往復約2万6千円、ゴルナーグラート鉄道は往復約1万2千円で、1万円は高くないというわけだ。

 基本構想素案は、1万円とした場合の利用者は年間300万人で、運賃収入は300億円とし、開業初年度から単年度黒字経営が可能と試算している。

課題は5合目の景観

 上質な観光地づくりには課題もある。イコモスは、土産物店などが立ち並ぶ5合目の商業主義的な景観を改善するよう求めている。

 山梨、静岡両県などでつくる富士山世界文化遺産協議会の学術委員会委員でもある藤井敏嗣・元火山噴火予知連絡会会長は、理事会で「5合目の再開発ができて初めて上質な観光地が実現できる。それを説明しないと学術委員会やユネスコは納得しない」と述べた。

 松浦晃一郎・元ユネスコ事務局長や岩村敬・元国土交通事務次官からも「登山鉄道を機に、5合目やその上の山小屋なども含めて世界に誇れる富士山にすべきだ」などの意見が出た。

 長崎知事は「これからは薄利多売が成り立たない。高付加価値化しないと駄目だというコンセンサスを得たい」と述べ、登山鉄道構想と5合目の景観改善を一体で進める考えを示した。

産経新聞 2020.12.14 06:00
https://www.sankei.com/premium/news/201214/prm2012140004-n1.html