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宗教とアニメを考察『輪るピングドラム』『銀河英雄伝説』『機動戦士Vガンダム』は問いかけていた

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1 :2022/08/04(木) 11:30:11 ID:CAP_USER9.net

QJWeb クイック・ジャパン ウェブ"宗教とアニメを考察『輪るピングドラム』『銀河英雄伝説』『機動戦士Vガンダム』は問いかけていた(アニメ評論家・藤津亮太)

QJWeb クイック・ジャパン ウェブ 8/3(水) 8:01

『銀河英雄伝説』地球教
ふたつめは田中芳樹の小説『銀河英雄伝説』──同作は1988年からのOVAシリーズが制作され、2018年からは再アニメ化された『銀河英雄伝説 Die Neue These』が進行中だ──に登場する、地球教である。

本作は、人類が銀河に進出した遠未来を舞台に、銀河帝国と自由惑星同盟、フェザーン自治領の3勢力が銀河の覇権を巡って繰り広げる戦争と政争などを描くSF歴史小説だ。

この時代、人類の発生の地である地球は、帝国領内にあるものの、もう顧みられることがなくなっている。地球教徒は「地球を聖なるもの」と考える信仰を持っており、最高権力者である総大主教は、帝国と同盟を徹底的に争わせ、社会が混沌としたそこで、地球教の信仰をもって人心を掌握する、というプランを持っていた。こうして社会のさまざまな場所に入り込んだ地球教徒を使い、帝国や同盟の要人暗殺などを計画して、政治状況を自らに有利なほうに誘導しようとする。

物語の中において地球教は、帝国と同盟の対立という大枠の流れに対し、予想外のアクシデントをもたらすファクターとして扱われている。決して物語の中心的存在ではない。そのため、地球教の動きだけを見ると、その宿願の大きさに比して、政治勢力へのアプローチがいささか拙いように見えるところがある。

彼らは地球を尊ぶ信仰を自分のものとだけしている。しかし宗教において最大の武器は、その思想なのだ。それは洋の東西を問わず、試みられてきたことだ。この思想を広く受け入れさせ、信徒にしなくともシンパを作ることが、世俗の権力を絡め取る最短距離の方法だったのだ。そして思想のシンパを増やすには、ダイレクトに思想を布教するのではなく、「聖なる地球」という思想を土台にした上で、より「世俗的な反帝国」あるいは「反同盟」という政治思想をどちらかの政治家や市民に訴えるべきだった。

どうして地球教徒がそのような戦略を取らなかったかを考えるとき、地球教におけるNo.2のド・ヴィリエが、信仰への意識が低く、むしろ政治力や権謀術数に長けていることで出世した人物だったことが理由として想像できる。ド・ヴィリエ自身がかなり世俗的な人間だったがために、自分たちの最大の武器が「思想」であることを見失わせ、底の浅い陰謀を巡らす道を進んでしまったのではないか。もちろんそれは銀河帝国にとっても、自由惑星同盟にとっても幸運なことではあったのだけれど。

※全文はリンク先で https://news.yahoo.co.jp/articles/21b8ba04f946f81d70e5a6edea9f5504e18aca97?page=2