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「動物虐待を許してはいけない」「時代遅れで廃止すべき」 揺れる700年の伝統、桑名の「上げ馬神事」は動物虐待か

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1 :2023/05/15(月) 04:42:40.96 ID:KyUSSZet9.net

多度大社の上げ馬神事で土壁越えに挑む馬=平成30年5月、三重県桑名市(渡辺恭晃撮影)

三重県桑名市の多度大社で700年にわたる歴史を持つとされる「上げ馬神事」を巡り、馬への虐待に当たるとの批判が相次いでいる。馬が人を背に土壁を駆け上がり、壁を越えられた回数で農作物の豊凶などを占う伝統行事。県無形民俗文化財にも指定されているが、近年は動物愛護の観点から問題視されることも多くなった。新型コロナウイルス禍のため4年ぶりの開催となった今年は、1頭が骨折のため安楽死に。長きにわたり営まれてきた神事が、伝統と新しい価値観のはざまで揺れている。

◆「時代遅れ」「伝統継承を」と賛否

武者姿の青年が操る馬が次々と助走路を駆け上がり、高さ約2メートルの土壁に取りつく。壁を超えようと懸命に四肢をばたつかせるたびに、見物客からは歓声とも悲鳴ともつかない声が上がった。

県の担当者によると、今年は5月4、5日に営まれ、騎手として16~29歳の地元の青年が6人と10頭を超える馬が参加。計18回のうち壁を超えたのは3回だけで、4日には1頭が骨折のため安楽死となった。

会員制交流サイト(SNS)では、馬が壁を登り切れず崩れ落ちる過去の動画も拡散。「神事や伝統だからと動物虐待を許してはいけない」「時代遅れで廃止すべき」といった批判が相次いだ。一方で「後世に引き継いでもらいたい」「命を大切にする形に変えて継承すべき」と伝統の継承を望む声も少なくなかった。

◆過去には即死、血の海に…

神事を問題視する「動物との共生を考える連絡会」代表で獣医の青木貢一さんによると、過去には馬を興奮させるためにドーピングや殴打も行われたという。15年以上前から会場で抗議を続けてきた青木さんは「骨折で安楽死になるだけでなく、雨のぬかるみに足をとられて頸椎(けいつい)損傷で即死したり、鼻から壁に激突して周囲が血の海になったり…。かわいそうな馬をたくさん見てきた」と語る。

同会は動物愛護法違反罪で告発したこともある。ドーピングや殴打は行われなくなってきたというが、「馬の持つ能力を超えて挑ませるのは虐待だ」と、人馬ともに安全な行事への改善を訴えている。

超党派による「動物福祉(アニマルウェルフェア)を考える議員連盟」事務局次長の串田誠一参院議員(日本維新の会)も、神事を問題視。16日には参院農林水産委員会の一般質疑で取り上げるという。

◆キツネ狩り、闘牛も

近年の動物愛護意識の高まりに伴い、伝統文化にも見直しを迫る動きは各地で相次いでいる。

海外では英国貴族の伝統スポーツであるキツネ狩りが国論を二分する論議の末に2005年、禁止法が施行。スペインでも闘牛が北西部カタルーニャ州など一部の地域で禁止された。食文化を巡っても、世界三大珍味のフォアグラを巡り、アヒルやガチョウに強制的に餌を与える製造法が問題視されるようになった。

上げ馬神事も、時代の波にのみこまれていくのだろうか。それとも時代に即した変化を受け入れ、姿を変えていくのか。多度大社は、これまでも寄せられた意見も踏まえてできる限り事故がなく、暴力的な行為がないように改善を続けてきたとした上で「700年近く続いている伝統行事を絶やすことなく、馬も安全な、よりよい神事にする努力を続けていきたい」としている。(本江希望)

5/14(日) 18:30配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/82ba7bf979583a8a455af95d228f7187c5986863